よしよしと頭を撫でるとナル君が小さくしゃっくりを上げた。
「ナル君は弱くなんてないよ。強い男の子だってあたしは
思ってます。力持ちだってことも知ってます。」
可愛いけど、ちゃんと男の子だって思ってる。
可愛すぎて女の子よりも可愛いってのは思うけど、
たまに怪力を発揮するナル君を知ってます。
「ヒヨリンッ、俺の・・ッこと幻滅・・した?」
途切れ途切れの声は掠れてきゅるんとした
お目目からは大量に零れ落ちる宝石の数々。
ダイヤモンドにパールにサファイヤルビー・・・
宝石を生産出来るのも夢じゃないと思った。
「するわけない。寧ろ、もっとナル君を知って
好きになりました。ナル君が大好きだよ。幻滅
なんて何を聞いたってしないよ。」
「俺な、ヒヨリンには知られたくないって思ってた。」
「うぇ!?」
「だけど、ヒヨリンに聞いてもらえて良かった。
ヒヨリンは幻滅とかしないって思ってたけど、
やっぱ嫌われんの怖くて言いたくなかったんだと思う。」
「そんな!あたしどんな邪悪な使者なんですか!?」
「うん、変だよな。ヒヨリンは最初っから向き合って
くれてんのに恥ずかしかったんだよな。」
ナル君を苦しめたお父さんはこの際抹消したいけども、
ナル君を今まで女だと思った人を心底苦しめたいけども、
何なら犯罪犯せる勢いで蹴散らしてやりたいけど、
何よりも怒りに震えるのはさっきの奴らだ。
あんなもんじゃ到底許すまじだ。
踏みにじってやりたかったぜ。
もしかしたら、あたしは邪悪な使者かもしれない。
心に閻魔様を飼ってるのかもしれん。
「ナル君、可愛い。」
メロメロリストだよ、こんな可愛い子滅多に居ない。
あたしの懐に顔を埋めて擦り寄ってくるナル君は
もう悶絶もんレベルだよね。
ある意味、可愛すぎる男の子だよね!
ドキドキ心臓ボルテージ上がってくよね。
終いには、鼻水が鼻血に変わっちまうよね。
「ヒヨリンのが可愛いんだ!俺、もうヒヨリン
好きすぎてヒヨリンなしに生きてけない。」
な、なんてことを言うんだこの子は!
ここまで来ると、ナル君は天使業界のイチオシだ。

