やっぱり、少しだけ嬉しそうに笑うナル君を

見てると心が痛くて張り裂けそうだ。

みんなだったらきっとナル君を甘やかせてあげられるんだろうな

って思うと何で馨君もみんなあたしに任せたんだろう?

あたしがナル君に我慢をさせてるのに。

役に立ちたいって言ったのは事実だけど、

何も役に立ててないから歯痒い。

みんなが居るからナル君は笑ってられる気がする。

可愛くお日様のように笑うから不良メンバーズも

それに釣られてみんな笑うんだ。

「あたしは、ナル君が笑ってくれると心が

ポカポカするのです。だけど、それは無理に

作ったものじゃなくてナル君が心から笑ってくれる

から得られる感情なんだと思います。」

「ん?」

キョトンとした顔を向けるナル君の背中に

回した腕の力を少し強めた。

「涙を流すことは決して恥ずかしいことなんかじゃないよ。」

あたしはそれが出来ない。

簡単なことは何もない。

それはある意味勇気に似たものだと思う。

「ナル君が泣いても誰も困らないよ。」

それでも、我慢するほどのことじゃないと思う。

「もしもね、それで困っても最後にあたしが

笑わすからいいんだって言ってあげるよ。」

泣いてスッキリしたら笑顔を取り戻せるように

最近取得したアメリカンジョークでも一発と思ってます。

「懐に困ったらあたしがいつでも貸してあげます。

ついでに、今ならオプションでよしよし頭も撫でてあげます。」

「・・・・・・・・・そんなこと言うなよッ」

声が掠れるナル君の目は涙が溢れそうだった。

溢れそうな涙は宝石よりも綺麗だった。

「あたしが嫌なら誰か呼ぶっていう手も!」

「ヒヨリンがいい・・・・・」

背中に回されたナル君の腕が強く抱きしめる。

「よく、頑張りましたね。頑張ったで賞を受賞した

ナル君にはトロフィーの授与をしてあげたいぐらいです。

何なら、帰ってクッキーで作ってきます。」

「・・・・・ッ」

ポロポロ溢れる涙は綺麗すぎてあたしには勿体無いように思えた。