母さんが病院に運ばれた日はそのまま病院に

泊まらせて貰えた。

暗い病院は気味が悪くて嫌だったけど、母さんが

大丈夫よって寄り添ってくれてたから怖くなかった。

だから、気が重くなった。

次の日、学校に行っても夜のことで頭がいっぱいに

なって何も手につかなかった。

「ナル、どうかした?」

馨は小学校に入った時に友達になった。

それまでは、信頼出来る友達は居なかったけど

馨はすごく優しくて良いやつだったから仲良くなれた。

「・・・・何でもない!」

それだけど、馨には言えなかった。

情けない俺のこと言えるわけなかった。

馨には幼稚園からの友達でクラスの違う

仲のいい友達が他にも居た。

たまに、遊んだりもしたけど正直馨しか

信用はしてなかったと思う。

馨には、一度助けられたことがあったからだ。

授業参観の日に作文を読まなきゃいけなかった。

家族についてのことで正直書けることは母さんだけで、

発表なんてしたくねぇって思ってた。

先生が俺を当てた時周りがヒソヒソ話してた。

俺の親父がどうのこうの喋って母さんのことまで

悪く言われてその場に居ることが心細くなった。

誰も味方なんて居ねぇって思ってた時に、

馨が手を上げて代わりに発表をしてくれた。

終わった後に、恥ずかしいよなって言ってくれた。

その時は、まだ兄貴も居たから馨は兄貴とも仲良くなってた。

だから、すげー心を許せる友達は馨だけだった。

そんな馨に俺のトラウマの話をしたことはないから、

巻き込むわけにはいかないって思ってその日の放課後

なるべく帰るのを遅くした。

出来る限り1人で暗いところに居る時間を作りたくなくて、

いつもよりずっと遅い頃に帰り道を歩いてた。

夕飯はコンビにの弁当を買って、暗くなった

夜道を家目指して歩いてる時さえ暗くて震えた。

暗いのは嫌な思い出しかなくて嫌いだ。

早く、母さん良くなってくれよって願って

足早に進めていた。