既に、ぬりかべが撃沈してると油断してた。
だから、2人の背後でぬりかべが動いたのを
察知してヤバイと思う前に伊織君が立ち上がって
蹴り飛ばした。血反吐を床に吐いたぬりかべを
哀れに思ったけど、致し方あるまい。
「んっ、取れねえ。」
ちぃ君はナル君の手首に縛られた紐を解こうと
していて伊織君の蹴りシーンなんてのは全然気にしてなかった。
やはり、マイペースちぃーさん。
「ちぃ君、ちょっと余計絞まってるよ!!ち、チミ
下手くそなんじゃないの!?」
ちぃ君がしょぼんとしながら更に絞めた。
「いいよ、あたしやるからそこで大人しくしてなさい!」
「・・・・・お前に言われたくない。」
「なぬっ!?」
イラッと口に出すと対抗してムカッと対抗された。
「あ、あたしだって頑張ったんだもん!」
もう駄目かもしれないって状況が何度訪れたか。
その度、諦めないって心を奮い立たせた。
「・・・・分かってる。だから、拗ねてんだ。」
「ムムっ!?」
「ほら、ちーさんは自分でナル見つけて、
尚且つオメェーさんのことも無事に帰すつもりで居たからよー。」
伊織君はちぃ君のことが分かるようだ。
無表情でプンスカしてるちぃ君の心情を悟ったみたいだ。
「結局、ちぃ君が来てくれなきゃ刺殺されてたよ?」
「・・・物騒なこと言うな。そんなことさせるかよ。」
「だからね、ちぃ君が拗ねる必要なんてないよ。
あたしもナル君のピンチもちぃ君と伊織君で蹴散らしたもんね。」
「お前な・・・・」
「敵わねぇーな、ひよこのお嬢ちゃんには。」
ちぃ君と伊織君がホッとした。
「ありがとなっ、2人とも!!」
それはナル君も同じだったようで2人に笑みを浮かべた。
「純情コンビには参ったな。」
「・・・・・2人並べて写真撮っときたいな。」
最後のは聞き捨てならなかった。
ちぃ君がアルバム作ってやるとかまたもや
天然発言をするから伊織君どうにかしてと思った。

