中庭なのかさっきとは違う日本庭園に感動して、
目を輝かしてるとおっちゃんがこっちだと声を掛けてきた。
「それにしても、みんなとはぐれてしまったと言うべきかしら?」
ともかく、あのオジサンに着いて行くべきよね。
ここで、すいませんなんて言うわけには行かないし。
植物がたくさんあって、花が綺麗に咲いてるのを
見るだけで楽しく山道の散策をしているみたいだった。
途中から醤油の香ばしい匂いがしてきて、ココちゃんが
パチリと目を開けて小さなお手々で目を擦る。
「ひよちゃーん」
ギュッと首に手を回してしがみついてくるココちゃん
にドキドキしてしまった。
寝起きも可愛らしくてもうお家に持ち帰りたい。
「おっ、心ちゃん起きたか。」
おっちゃんが手招きする方へ歩いて行くと
またもやたくさんのお兄さんやオジサンたちが
ハッピを着て餅をついてた。
「お餅だ!」
ココちゃんがパッと笑顔になって喜んだ。
若いお兄さんが椅子を用意してくれたので、
お言葉に甘えて座らせてもらった。
膝の上に座ってお餅に目を輝かすココちゃんの
キュートさをこの目に焼き付けながらもまだ
眠ってる夏君が落ちないようにした。
「お嬢ちゃん、いっぱい食べな。」
「は、はいっ!」
お汁粉を手にしたココちゃんが割り箸を割れずに
居たのを割ってあげるとニコニコ嬉しそうに笑った。
箸使いが難しいのか苦戦しながら食べるココちゃんを
陰ながら応援して頑張れと親心にも似た気持ちで見守った。
あたしは、お汁粉が食べられないと口走ると丼のような
ものに並々入れられたお雑煮を手渡されて丸皿いっぱい
の磯辺揚げも用意された。
きな粉につけたり小豆に包まれたものもあって、
お餅三昧で盛大だなと思った。
そこら辺に居るオジサンたちはコマを回したり、
羽つきをしたりと風流の演出をしてた。
たらふく食べるとオジサンたちに食べっぷりがいいねと
絶賛されて照れた。
ココちゃんも満足したのかお汁粉を頑張って食べた。
夏君は相変わらずお睡のようでお兄ちゃんであるちぃ君
にそっくりなのかどんなに騒がしくても起きることがなかった。

