「このお店から出たらすぐに取るからそれまでしばしの
辛抱です。少し煩わしいと思いますがほんの少しの我慢です。」
「うん、もしヒヨリンに何かあったら俺が蹴り殺すかんな。」
「いや、あたしにお任せを!!」
「駄目!ヒヨリンを俺が守るのは譲れねえの!」
ぷうと頬を膨らませるナル君は最早神レベルの可愛さ。
神はどうしてこの子をヒロインにしなかったんでしょうか?
あたしよりもヒロインの器に向いてる気がする。
ナル君が人攫いに遭ったと聞いた瞬間みんなもかなり
キレてたような気がするもんね。
「では、早くみんなと合流して一緒に帰りましょう!」
「んっ!!帰ったら、プリン食べんだ!」
「今度、お詫びを兼ねてプリンを作りますよ。」
「お詫びなんて要らねぇよ?俺が心配でヒヨリンを
探してしくじったことだから気にすんなよ?」
絶対に、ナル君は泣いてくれないんだ。
あたしが頼りないから見せてくれない。
我慢して無理させてる気がして自分の
無能さに苛立ちさえ覚えた。
「な、ナル君は」
あたしが頼りないと思ってますかって聞こうとした。
すぐそこの角を曲がると人にぶつかった。
吹き飛ばされたあたしとナル君。
恐る恐る顔を上げると般若のような顔をしたチンピラが
居てビックラこいた。
相手が先に攻撃を仕掛けて来る前にショルダー鞄から
クラッカーのようなものを取り出してすぐ様迎え撃った。
どうも、兄ちゃんは時にはやる男だったらしい。
クラッカーから出てきた謎の物体が男の顔にへばりついた。
ぶほっと笑いたくなるような間抜けな奴だった。
お陰で、変に戦闘せずに逃げれた。
因みに、ナル君を誘拐したかもしれないの刑で
蹴飛ばしたら思いのほか吹っ飛んだ。
とにかく、あたしは激怒していた。
お陰で今は力がみなぎってる。
今なら、どんな悪党が出てきてもコテンパンに出来る自信がある。
ナル君の手を優しくエスコートして、
この入り組んだ建物内からどうやって出ようかと
冷静に考えてみた。
とりあえず、3つのバディーの内どっかの1チームで
いいから合流しておきたい。
あたしならまだしもナル君が居るからもしも戦うと
なっても絶対に今のナル君に戦闘はさせたくない。

