Hurly-Burly 5 【完】


何となく、予感はしてた。

あたしはこういう時働く勘があるみたいだ。

これを鋭い勘の持ち主と言わずして何と聞いてやりたい。

全員に反省文を書かせてやろうかなんて企んでると、

「・・・・っん?」

ドアは半開きになってるからここを出て近くまで

来てるであろう馨君とユウヤに合流すれば計画通りに行ける。

でも、やっぱりナル君を守ってたあの人を犠牲にしていい訳がない。

「ナル君、迎えに来たよ。」

薄目を開けるナル君が硬直して酷く怯えた。

「・・・・ヤダ、来んなっ!」

多少なり、あたしの可愛いハートは傷ついた。

けど、これは寝起きの混乱だよと言い聞かせて、

諦めずにナル君に声を掛けた。

「ナル君、あたしだよ。日和です。探しに来て

くれたって聞いたよ。あたしのせいでナル君に

怖い思いさせてごめんね。もう絶対に怖いことないから

一緒に帰ろう?ナル君は、あたしが守るから。」

そして、託されたあたしには任務がある。

みんなのためにもあの謎の人のためにも、

このキュートなプリンセスを守り通す。

ガタガタ震える肩には力が入っていて、

相当怖い目に遭ったようでどうしていいか分からなくなった。

どうしたら不安を取り除いてあげられるか?

顔を下に向けるナル君にそっと背中に腕を回す。

優しく包み込むように抱きしめる。

「もう大丈夫だよ。怖くないよ。ナル君に酷いこと

した輩はあたしがロケットを開発して宇宙に飛ばしてやるわ。」

「・・・・・・・・・ッ」

下唇を噛み締めて顔を下に向けるナル君は、

涙を必死に堪えていた。

大きなクリクリしたお目目には涙をいっぱいに溜めて、

零さないように必死になっていた。

「よく頑張ったね。ナル君は偉いよ。こんなに暗いところ

でよくやったよ。お母ちゃんはすごくビックリしてる。」

暗いところが怖いってあたしに教えてくれたもんね。

その時だって、勇気を振り絞ってくれた。

弱点を告げるってすごく不安になるはずなのに、

あたしに教えてくれたの嬉しかった。

すごく嬉しかったからね、絶対に力になるんだって決めてた。