Hurly-Burly 5 【完】


こちらの方はというとあんたがやってくれと言われた。

ようやく、もう1人に近づけたと思ったら驚いた。

すごい美少女で鼻血出るんじゃないかと思った。

暗くてよく分からないけど、長い髪はふわふわで

小顔なシルエットで服装はジーンズにシャツだけど

腰周りが非常に細いと伺える。

手首も足首も細くて折れてしまいそうなほど華奢な上、

守ってあげたくなるようなオーラを発してた。

これだけ、可愛いければ守りたいってのがよく分かる。

「俺は、このドアを何とかするの考える。」

「はい、お願い致します。」

とりあえず、足を解かないといざって時に逃げれないと

思うから足から解こうとまた紐解きに集中した。

ここから、帰ったら簡単に紐解き出来るように

勉強しとくべきかもしれないぞ!

もしもの時に絶対に役に立つと思う。

こういうのはマジシャンになろう入門編って本が

確かどこかにあったはずだわ。

脱出のトリックもこの際お勉強してみましょう。

何か、ドアの方がガンガン音がするのは気のせいだろうか。

あの人、防音の特殊扉に勝負を挑んでる!?

扉に睨んで敵意むき出しに戦ってる!

足の紐が解けて手の紐を解こうとしたそのタイミングで、

ドアが開いたのか明かりが入ってきて驚いた。

「・・・・・・へっ、な、ナル君!?」

可笑しな気がしていた。

匂いがどこか知ってるような気がしたけど、

気のせいだろとばかり思ってた。

髪からはバサっとカツラが取れて本来の姿に戻る。

一瞬にして意味が分からなくなった。

「・・・やべっ」

そして、すぐに意識を取り戻してドアの方を見ると

どうもそれは助けでも何でもなかった。

少しだけ、ほんの少しだけ誰か助けてくれる

んじゃないかって思ったけどここに来てもやはり

あたしはどうも“ヒロイン”としてではなく“ヒーロー”

として戦えと命じられてるようだ。

ドアをぶち壊したのではなくたまたまやって来た

男に見つかったという奇跡的な展開がやってきた。

そして、あろうことか一瞬あたしに笑みを向けた。

つり目で綺麗な女の人の格好だった。

男だと思ってたのに、後は任せたよって言いたいんだって

気づいたのはやって来た男にこちらの様子を気づかれない

ようにドアから逃げて行く彼を追いかける様子を見てからだった。