Hurly-Burly 5 【完】


敵かもしれないとかいきなり言うからパッと

手を放してよく考えてみる。

「て、敵なのか?」

だとしても、敵が自らこんな格好で居るとは

どんな趣味をしているんだ!!

日本の未来がとてつもなく心配だよ!

現代人の心の病恐るべきだ。

「もしかしてとか思わねぇの?今、これ

外そうとしたろ?それが、外された瞬間

襲いかかってくるとかさ普通考えねぇ?」

どうも、あたし馬鹿にされてるようだ。

どうでもいいけど、馬鹿にされる筋合いないと思う。

そして、あたしの心の優しさを踏みにじる気満々だわ。

「考えない。だって、貴方はもう1人を必死にあたしから

遠ざけようとしてたでしょ?踏んづけたのも貴方の足だ。」

2回ほど、この部屋で何か物体を踏んづけたあたしは

おそらくこの人の足だと思われる。

そして、ずっと背中の後ろに隠すかのように

もう1人の人を庇ってるように思える。

「あんた、馬鹿じゃねぇみてーだな。」

「天才児と巷で騒がれるので。」

ここぞとばかりにあたしが天才児だってことを主張

してみたがすごい馬鹿にされた目で見られた。

「ここに、何しに来た?」

そして、また足の紐を解こうとケータイの明かりを

頼りにして複雑な結び目に悪戦苦闘する。

早く自由にしてあげたいなと思って、

ナル君を早く見つけなきゃってこともあるけど

この人もついでに助けてあげよう。

「友達が人攫いに攫われて探しているんです。

それが、あたしを探してくれていた時に起こった

話でもあるので責任を感じますが、何よりも暗い

ところが苦手なので早く見つけて大丈夫だよって

言ってあげたいのです。」

夏に約束したことだから。

ナル君の怖いものは全部あたしが追い払ってやるんだって、

頼りないかもしれないけどナル君を守るんだ。

「・・・・・その友達はどんな子?」

戸惑いがちに聞かれて結び目を一つ解いてもう一つ

を解こうとしていた。