Hurly-Burly 5 【完】


床に手をついて恐る恐るそれを触るとギョッとした。

驚いたってもんじゃない。

一瞬にして、顔というかもう心が真っ青になった。

ひ、人の足っぽい!?

死体って奴が転がってるのかもしれない。

これはサスペンス劇場だ!!

とにかく、叫びたい衝動に駆られた。

大声出してやろうかとさえ思えた。

だけど、すぐに声が聞こえて背筋が凍った。

「あんたも連れて来られたのか?」

まだ、生きていたっぽい。

死んでなかったらしい。

死体ではなかったけど、ここにひっそりと

潜んでいたということは・・・・・

「て、敵襲だ!!」

む、迎え撃つ準備をしなくてはと思ったけど、

「何、あんた縛られてねぇのか?」

どうも敵ではなさそうで目が慣れてきたのか

薄らとした視界には2つの物体が存在した。

「貴方は、縛られて居るのですか?」

よく見えないからよく分からない。

でも、身動きが取れずに転がっているところを

みるとどうも両手も両足も縛られて居るようだった。

あたしは両足も両手も自由だ。

何で、この人は不自由なんだろうと思った。

ショルダーポケットからケータイを取り出すと、

今まで気づかなかったが履歴が恐ろしいことになってた。

見てる時間はないが、恐るべき単位で連絡が来ていた

ようで寒気までしてきた。

明かりのお陰か人影を見つけることが出来て、

そっと近づいて足の紐に手を掛けた。

「あんた、何で見ず知らずの奴助けんだ?」

「へっ?だって、困ってるじゃないか。」

こんな暗いところで不自由になって困らない

人が居るならそれは精神的な何かが壊れてる

人だと思うんですよ。

「困ってるからってあんた俺があんたの敵だったりとか

考えたりしないわけ?」

性別はどうやら男らしい。

声はハスキーなので、どっちだろうと思ったけど

俺というからには男なんだと思った。