床に手をついて恐る恐るそれを触るとギョッとした。
驚いたってもんじゃない。
一瞬にして、顔というかもう心が真っ青になった。
ひ、人の足っぽい!?
死体って奴が転がってるのかもしれない。
これはサスペンス劇場だ!!
とにかく、叫びたい衝動に駆られた。
大声出してやろうかとさえ思えた。
だけど、すぐに声が聞こえて背筋が凍った。
「あんたも連れて来られたのか?」
まだ、生きていたっぽい。
死んでなかったらしい。
死体ではなかったけど、ここにひっそりと
潜んでいたということは・・・・・
「て、敵襲だ!!」
む、迎え撃つ準備をしなくてはと思ったけど、
「何、あんた縛られてねぇのか?」
どうも敵ではなさそうで目が慣れてきたのか
薄らとした視界には2つの物体が存在した。
「貴方は、縛られて居るのですか?」
よく見えないからよく分からない。
でも、身動きが取れずに転がっているところを
みるとどうも両手も両足も縛られて居るようだった。
あたしは両足も両手も自由だ。
何で、この人は不自由なんだろうと思った。
ショルダーポケットからケータイを取り出すと、
今まで気づかなかったが履歴が恐ろしいことになってた。
見てる時間はないが、恐るべき単位で連絡が来ていた
ようで寒気までしてきた。
明かりのお陰か人影を見つけることが出来て、
そっと近づいて足の紐に手を掛けた。
「あんた、何で見ず知らずの奴助けんだ?」
「へっ?だって、困ってるじゃないか。」
こんな暗いところで不自由になって困らない
人が居るならそれは精神的な何かが壊れてる
人だと思うんですよ。
「困ってるからってあんた俺があんたの敵だったりとか
考えたりしないわけ?」
性別はどうやら男らしい。
声はハスキーなので、どっちだろうと思ったけど
俺というからには男なんだと思った。

