Hurly-Burly 5 【完】


廊下のようなところは部屋がいくつもあるみたいだ、

ダンボールがあるお陰で隠れみの術が使える。

運良く、人通りも少ないようでドアの隙間から

部屋に明かりが付いてるかなど察することが出来る。

「日和ちゃん、手分けして探すことになってるから

俺かユウヤの傍から絶対に離れないでね。」

「うむ、心得ておきます。」

馨君とユウヤとタッグを組むことになったようだ。

ちぃ君と伊織君、慶詩と京君が他の組み合わせ。

3手に分かれて別々の通路へ向かうことになった。

馨君の予想は当たっていて、見た目よりもずっと

広い店内のようで通路が何箇所かあるようだ。

一通りドアを開けてナル君の所在を確かめる。

先頭を切ってドアを開けるのはユウヤの仕事になってる。

さすが、ダイナマイト担当で怖いもの知らず。

ここで、その破天荒さが出たのだと思った。

きちんと中まで入って閉じ込めて置けそうな

掃除用具などまで綿密に調べる。

今のところ、全ての部屋には誰も居なかった。

これまた運良く部屋の明かりはどこも暗かった。

倉庫のような密集地帯のようで人気が全くない。

それも、馨君の計算上らしい。

他の2つの通路が怪しいと予想してたようだ。

ケータイを弄りながらどこから入手したのか

分からないがここの間取りを見てる馨君が何者

なのかと疑問さえ浮かんだ。

さすが、ミステリアス男子だ!

今のところ、あたしが役に立つようなことはない。

一緒についてきた存在薄い人になりかけてる。

人が居ないわけで戦闘することもない。

寧ろ、他の2つの通路でどんなことになってるのか

気になってしょうがない。

ビデオカメラをちぃ君と慶詩に仕込んどくんだった。

小型で気づかなそうなところに取り付けて撮影して

やるべきだったと後悔した。

前では、ユウヤと馨君がしゃがんで間取りを見ながら

何か喋ってるようでそれを見てたら足元に空瓶が

転がっていたことに気付かず少し2人に距離を詰めようと

しゃがみながら歩いたせいでズベっと後転をするかの如く

ひっくり返ってしまった。