言葉にしたいけど、出来ないのはずっとちぃ君が
あたしの口を手で覆って放してないからだ。
きっと、ちぃ君はどうすることが一番の得策か
考えてなるべく誰も傷つかないようにって思ってる。
ボスであるちぃ君が最終決定権を持つわけで、
みんなちぃ君1人にその決定権を背負わせてるわけじゃなく
1人1人意見を述べてそれでちぃ君の指示を待ってる。
それって、すごく難しいことだと思う。
自分の決定権でこれから未来が決まる。
重い選択をちぃ君は何度経験してきたんだろう?
だから、少しでも肩の荷が降りればと思って、
喋れない代わりにポンっとちぃ君の頭に手を乗せて、
よしよしっと撫でてみた。
やっぱり、ちぃ君の髪はふわふわしてる。
一瞬驚いたちぃ君が何だよって顔をしてきたから、
少しでも気持ち軽くなるかなって思って笑ってみた。
笑ってみたけど、さっき不気味だからやめてくれって
言われたの思い出してすぐに真顔に戻した。
そして、ちぃ君が顔上げてようやくあたしが
喋れないのが自分の手だと気づいたのかすぐに放れた。
「一応、念の為に聞く。お前、ここに残る気はねぇか?」
やっぱりなとは思った。
多分、決断を鈍らせてるのはあたしなんだろうと
気づいてたから驚く気にはならなかった。
「それがちぃ君の下した決定ならここで待ってる。」
「・・・・・・・・・・」
「とは言いたいけど、本当は着いて行きたい。
寧ろ、先頭になってやろうかとも思ってる。」
あたしが戦力外になると思ってるんだ。
確かに、これだけの事してる店だから
これから先のことに保証はない。
「足でまといになるつもりもない。」
それが一番あたしの中での信念だ。
友達になるって思った日から曲げなかった。
そして、こんな日が来ることを想定していた
わけではないが何かと心配性な兄ちゃんが
あたしのカバンのいたるところに仕込んでる
役に立つのか分からない何が出てくるか分からない
マル秘防犯グッズもあるわけでいざとなったら使って
評価してみようとも思ってる。

