Hurly-Burly 5 【完】


動くなよとでも言ってるようなそれに

我慢して耐えて男たちを見据えた。

「良い子だ、もう少し辛抱しろ。」

ちぃ君の小声に首を縦に振って頷くと、

頭を撫でられてちょっとだけ落ち着いて冷静さを

少しずつ取り戻していくように気持ちを整理する。

「今日の収穫はどうだ?」

「まぁ、見てのお楽しみっすね。」

「そうか、風神会の奴らの気が逸れてる今が

商売になるからな。」

煙草を吸ってる男が偉い奴らしい。

「したら、俺予定あるんで失礼しやっす。」

「おうっ、金は足りてんのか?」

煙草を吸ってる男が徐にスーツのポケット

に手を突っ込んで札束を取り出した。

「ッ!!」

今日、一日であたしはサスペンス劇場と

刑事ドラマと任侠ものの映画を見たような気がする。

札束から数枚の諭吉を掴むと奇抜な頭をした

男にそれを渡して、奇抜な頭をした男が深々と

お辞儀してお金をポケットに乱雑に入れた。

こ、これが、世に言う裏社会ってヤツか!

少しすると煙草を吸い終わった男が店には

戻らずに奇抜の男が去ったネオン街の方へ

姿を消して行った。

「あれで、確定だな。ナルはこの中で間違いねぇだろ。」

慶詩の言葉に大いに頷いた。

「店の中は見た目よりも広いと見たほうが良さそうだね。」

馨君がケータイを弄っている。

今時の機械を使いこなしている!

「ど~するよ、ちーさん。美男たち来るの待つか?

今、去ったのがオーナーだとすりゃこんな絶好なタイミングねぇよ?」

伊織君が言うとおりだ。

さっきのが店の偉い人ならば今がチャンスだ。

「俺、さっき見たけどよ。店の中、すげー暗かった。

ナルのヤツヤバイんじゃないか?」

ユウヤが心配そうに眉を下げる。

「・・・・中の様子は暗すぎて分からない。残ってる

中にまだ上の人間がどれぐらい居るかも想定が付かない。」

京君の言葉にちぃ君は無表情で考えてる。

あたしがちぃ君を見上げて行こうと視線を向ける。