「んなもんに興味あるわけねえだろ。」
慶詩が言い切ったことに安心した。
「だと思った。みんなは地域に優しい不良さんだもんね!!」
「少しは疑ってただろ?」
慶詩は意地悪してやろうと思ってるんだろうか?
「疑うも何もああいう物騒なものは心の弱いものが使う。
昔、アヘン戦争というものがあったように人の心の
弱さにつけ込むような代物だ。だから、そんなものを
使うほど心の弱い根性なしだとは思ってない。」
人の心の弱さを快楽という幻想で一時的に安らぎを
与えるかもしれない。
だからこそ、人間って生き物は面倒だ。
「ヒヨリンって物知りだよな。俺、今の話
全然分かんねーや。でもよ、マジで使ってたらどうしたんだよ?」
ユウヤが笑いながら聞いてきた。
「そしたら、殴るね。更生させるに決まってるだろう。」
グーを突き出すとユウヤに怖えなと言われた。
「あたしは諦めるつもりなんてないよ。不可能って
言葉はあたしの辞書には存在しないから。」
静かな空気が流れるそこはやっぱり異様な
不気味さを持っている。
「あ、人出てきたぞ。」
ユウヤが小声でそう言ったからもう一度
顔を上げて店の方を見る。
ドアにもたれ掛かって煙草に火をつけた
チンピラらしき男が1人居る。
暗くてよく見えないけど、来た道から
足音が近づいてくるのを息を潜めて待った。
「・・・・っ!!!」
大きな声出しそうになったところをちぃ君に
塞がれて声を出さずに済んだ。
来た道から来た麻の袋を持ってた奇抜な髪型した
柄の悪そうな男はどう見てもさっきの人だ。
「萬田さん、お疲れ様っす!」
店の前で煙草を吸ってる男にペコリと頭を下げる
奇抜な髪をした男にビシッと指差す。
奴に間違いないと視線で訴えると、ちぃ君が
頷いて視線を男たちに向けて様子を伺う。
今にも飛び出したい衝動に駆られるあたしを
分かってか四方八方からあたしを押さえつける
手が伸びてきたのは言うまでもない。

