Hurly-Burly 5 【完】


伊織君と慶詩の言葉からすると卑猥なこと

が今起こってるらしいけども、免疫が全く

もって皆無なわけでどうしていいものか分からない。

余計に、ナル君が心配になってきた。

こんな雰囲気からしても如何わしいところに

連れてこられたなんてきっと心細いに違いない。

「しかし、日本の情勢がここまで乱れきってるとは

世直しをするべきだと思う!」

知ってるか?路上でちゅーすると罰金を

払わねばならない国だってあるんだぞ。

とにかく、道草してる場合じゃなく早くナル君を

助け出さないとあたしの可愛いナル君!!

「マイスィートエンジェルに誓って、

国家に法案改善を提出してみようと思う。」

「いきなり、大事になった。」

ユウヤが白々しい視線を向けてきた。

ちぃ君がパッと手を放したからだ。

チラッと店の前を見ると男同士だった。

今の一瞬で見れたのは男同士ってところだ。

み、見ちゃった!お、お、男同士だった!

ち、チンピラ同士だった!服掴みあってた!

「世も末だ、生物学上でいう氷河期だ!」

「見ちまったなら、よ~く見てみろ。」

伊織君がや~ねと言いながら指差す方向を凝視する。

「へっ、あれ・・・何?」

もちろん、そこにある光景が卑猥な光景なんかではない。

伊織君と慶詩嘘つきやがったなと思ったけど、

気になったのは手元にある袋のようなもの。

よく、テレビドラマの不良とかヤクザが持ってるような、

アカリちゃん救出の時にもそんな感じの袋を持ってた人

を見かけたような気もする。

「クスリって言ったら分かるかな?」

「薬物ってことだよね?」

馨君は目の前の男たちのやり取りを包み隠さず説明してくれた。

非合法なクスリを売り捌く売人という人が居て、

そういう人たちがこうやって夜の街で売ることは

よくある話なんだと言ってた。

「そんな物騒なものに手を出してないだろうな?」

そんなことはしてないだろうって思うけど、

心配だから一応聞いてみた。

詳しいこと知ってるから多分不安になったんだと思う。