伊織君と慶詩の言葉からすると卑猥なこと
が今起こってるらしいけども、免疫が全く
もって皆無なわけでどうしていいものか分からない。
余計に、ナル君が心配になってきた。
こんな雰囲気からしても如何わしいところに
連れてこられたなんてきっと心細いに違いない。
「しかし、日本の情勢がここまで乱れきってるとは
世直しをするべきだと思う!」
知ってるか?路上でちゅーすると罰金を
払わねばならない国だってあるんだぞ。
とにかく、道草してる場合じゃなく早くナル君を
助け出さないとあたしの可愛いナル君!!
「マイスィートエンジェルに誓って、
国家に法案改善を提出してみようと思う。」
「いきなり、大事になった。」
ユウヤが白々しい視線を向けてきた。
ちぃ君がパッと手を放したからだ。
チラッと店の前を見ると男同士だった。
今の一瞬で見れたのは男同士ってところだ。
み、見ちゃった!お、お、男同士だった!
ち、チンピラ同士だった!服掴みあってた!
「世も末だ、生物学上でいう氷河期だ!」
「見ちまったなら、よ~く見てみろ。」
伊織君がや~ねと言いながら指差す方向を凝視する。
「へっ、あれ・・・何?」
もちろん、そこにある光景が卑猥な光景なんかではない。
伊織君と慶詩嘘つきやがったなと思ったけど、
気になったのは手元にある袋のようなもの。
よく、テレビドラマの不良とかヤクザが持ってるような、
アカリちゃん救出の時にもそんな感じの袋を持ってた人
を見かけたような気もする。
「クスリって言ったら分かるかな?」
「薬物ってことだよね?」
馨君は目の前の男たちのやり取りを包み隠さず説明してくれた。
非合法なクスリを売り捌く売人という人が居て、
そういう人たちがこうやって夜の街で売ることは
よくある話なんだと言ってた。
「そんな物騒なものに手を出してないだろうな?」
そんなことはしてないだろうって思うけど、
心配だから一応聞いてみた。
詳しいこと知ってるから多分不安になったんだと思う。

