Hurly-Burly 5 【完】


人通りの激しいところと反対側の暗く淀んだ空気が

広がる反対側のある先ほどの角の前に立つ。

その奥はとてもじゃないけど賑わう街とは

正反対に嫌に静かな空気が流れる。

異世界のような路地には分かれ道があった。

「ど、どっちに行ったかは見てない!」

「・・・・静かにしろ。」

「い、イエッサー!」

ちぃ君に小声で答えて敬礼する。

「分かれて見るか?」

慶詩が分かれ道を指差すのを見て、

ちぃ君が少し考えてる。

その瞬間だった。よく分からないけど、

何か背筋に嫌な予感を察知した。

それは何か糸に吊り下げられたようなもので、

誰かに呼ばれたような気がして身を引かれる。

「えっ、日和ちゃん?」

体が急にこっちだと動かされて分かれ道へ先に

移動してしまったあたしに馨君が驚いたように止める。

「こっちだ!あたしの鋭い勘が今役に立つ時が来た。」

左の方を指差すあたしをちぃ君が真っ直ぐ見つめる。

「・・・・頼りねぇ」

よそ見をして空き缶に躓きそうになったところで

ユウヤがプッと笑った。

「あたしを信じろ!!」

ちょ、ちょっと、あたしまで違うかもしれないと

思っちゃったじゃないか。

だけど、今思っちゃったんだよね。

これは、多分“ヒーローの勘”だ。

カッコイイなあたしと思ってしまいそうなところだ。

「・・・・分かった、分かれずにそっちの方に行くぞ。」

そして、あたしの真剣な思いに折れたのはちぃ君だった。

「よしっ、ちぃ君もあたしの鋭い勘を信じたんだな!」

「お前の勘は信用してない。」

「なっ、あたしの勘にジェラシーで」

「ない。お前の勘は鈍いからな。鈍々だからな。」

何で、2回も言った!?

しかも、鈍々って可愛く言った。

それだけで、ちょっと、鈍いって言われたこと

忘れてやろうかと思った。

恐るべく、天然大魔王チーゴンめ!

あたしを丸め込もうとしたに違いない。