Hurly-Burly 5 【完】


しかし、危なかったな。

まさか、赤ちゃんが1人ハイハイしてるとは

思いもしないぜ。黒宮組は保育園だったのか!?

体力と力だけは自信があるつもりだったから、

2人を抱っこしても全然苦痛に思わなくて、

はしゃいでる2人を見てるだけで天国気分だった。

「ひよちゃん、夏君はちー君の弟なんだよ。」

「そ、そうでしたか!」

通りで、赤ちゃんの割に可愛くて漆黒の瞳が

ちぃ君と被ってしまった。

「あう!」

返事をしたみたいな夏君の可愛さに悶えた。

だけど、ヤバイな。

赤ちゃん拾ってる場合じゃなかったよ。

み、みんなを見失ってしまった!

どうしようと思いながらウロウロ彷徨い歩く。

すれ違うたびにおっかないオジサンたちが

不思議そうな顔をして去ってく。

はしゃぎ疲れたのかココちゃんも夏君も

いつの間にぐっすり眠ってしまった。

「ひえええええ!!」

あるところに行けば厨房で包丁を握ったお兄さんが居て、

あるところに行けば日本刀が飾られた部屋にたどり着き、

あるところに行けば刺青を彫ってる現場に遭遇して、

冷や汗がとにかく止まらなかった。

どの人もすごい困った顔してた。

たまに、廊下で遭遇するお兄さんはお面被ってる

人とか捻りハチマキにハッピを着た人が居たりと、

恐ろしく笑えてしょうがなかった。

く、黒宮組は一体何の集団だよ!?

太鼓を叩いてるお兄さんに出くわしたりもして、

ここは何かお祭りでもする気なのだろうかと

彷徨い歩きながらふと思った。

それにしても、広いお屋敷だ。

あたしの家も広い家だけど、それ以上に人もウロウロ

してるせいか壮大に見えてしょうがなかった。

だ、誰か、あたしが消えたと気付かんか!

置いてくなんて酷いじゃないか!!

大体、ちぃ君が1人で来るなとか何たら言っといて

放置プレーってどこまでマイペースさ発揮してくれるんだ。