紫煙がフカフカと暗闇に消えていく。
火花のように煙草の先端が燃える明かりが頼りだ。
「どうだった?」
慶詩が伊織君から煙草を貰いながら聞くと、
伊織君がふうっと息を吹きかけて紫煙を飛ばす。
「目星いとこは大概回ったんだけどね~、
美男と百瀬の方もどうもハズレだな。」
「京のとこも違うみたいだったしな。」
ユウヤが明らかに落胆の顔を見せる。
「ももっちのとこは連絡来てねぇーけど、
多分ハズレだな。さーて、ウチのナルちゃん
どこ連れてかれちまったかな~」
伊織君が煙草の灰を地面に落とすのを、
横目にこの作戦会議的なのには加わって
いいものなのかなと物思いに耽ってみた。
瞑想の世界に旅立つように心を無にして、
一度冷静になって見ると見えてくることがある。
「早く探してやらねえとナルも弱点あっからな。」
慶詩も伊織君の隣で煙草をふうっと吸っていた。
“暗いところ”
「ナル君、暗いところ苦手なんだよね?」
ふと、一度ナル君自身から聞いたことを思い出した。
「それ、ナルから聞いたのか?」
ちぃ君が読み取りにくい表情で聞いてきた。
「うん、だから大丈夫かな?怖い思いしてないかな?」
理由は知らないけど、人には必ず弱点はあると思う。
どんなに優れた人でも一つは劣ってるところが
あるように完璧な人間なんて存在しない。
欠落しているから人間と呼べる。
「ナルはそれほど日和ちゃんのこと信頼してんだね。」
馨君が少し驚いたような顔をした。
「どうだろう?ただね、約束したんだ。
もしも、ナル君が暗いところで怖いなって思ったら
あたしが駆けつけるよって絶対に怖い思いなんてさせないよ。
あたしの美談でも語ってあげようかと」
「最後の要らなかったな。」
ゆ、ユウヤ、最後のが一番重要だよ!
「ナルがそういうこと言うのは珍しいことだよ。」
馨君はナル君をよく知ってそうだよね。
「そうなんだ?じゃあ、あたしラッキーガールだね。」
ひひっと笑うと馨君が一瞬驚いてすぐに穏やかな笑みに戻った。

