Hurly-Burly 5 【完】


紫煙がフカフカと暗闇に消えていく。

火花のように煙草の先端が燃える明かりが頼りだ。

「どうだった?」

慶詩が伊織君から煙草を貰いながら聞くと、

伊織君がふうっと息を吹きかけて紫煙を飛ばす。

「目星いとこは大概回ったんだけどね~、

美男と百瀬の方もどうもハズレだな。」

「京のとこも違うみたいだったしな。」

ユウヤが明らかに落胆の顔を見せる。

「ももっちのとこは連絡来てねぇーけど、

多分ハズレだな。さーて、ウチのナルちゃん

どこ連れてかれちまったかな~」

伊織君が煙草の灰を地面に落とすのを、

横目にこの作戦会議的なのには加わって

いいものなのかなと物思いに耽ってみた。

瞑想の世界に旅立つように心を無にして、

一度冷静になって見ると見えてくることがある。

「早く探してやらねえとナルも弱点あっからな。」

慶詩も伊織君の隣で煙草をふうっと吸っていた。

“暗いところ”

「ナル君、暗いところ苦手なんだよね?」

ふと、一度ナル君自身から聞いたことを思い出した。

「それ、ナルから聞いたのか?」

ちぃ君が読み取りにくい表情で聞いてきた。

「うん、だから大丈夫かな?怖い思いしてないかな?」

理由は知らないけど、人には必ず弱点はあると思う。

どんなに優れた人でも一つは劣ってるところが

あるように完璧な人間なんて存在しない。

欠落しているから人間と呼べる。

「ナルはそれほど日和ちゃんのこと信頼してんだね。」

馨君が少し驚いたような顔をした。

「どうだろう?ただね、約束したんだ。

もしも、ナル君が暗いところで怖いなって思ったら

あたしが駆けつけるよって絶対に怖い思いなんてさせないよ。

あたしの美談でも語ってあげようかと」

「最後の要らなかったな。」

ゆ、ユウヤ、最後のが一番重要だよ!

「ナルがそういうこと言うのは珍しいことだよ。」

馨君はナル君をよく知ってそうだよね。

「そうなんだ?じゃあ、あたしラッキーガールだね。」

ひひっと笑うと馨君が一瞬驚いてすぐに穏やかな笑みに戻った。