さっきからこの人いつまで居座る気なんだろうか!?

もしや、あたしの座を狙っているんじゃあるまいな!!

急に出てきた脇役の分際でこの物語の主人公の座は

渡してやらんぞ!

「って、んな場合じゃねんだ!」

真顔で凝視しているあたしを無視してユウヤが慌てふためく。

「落ち着いたらどうだね?」

そんなに慌てる理由がどこにあるんだろうかね?

ユウヤの落ち着きのなさはいつものことだと思うけどさ、

少し落ち着いたらいいと思うよね。

「落ち着いてられっかよ!」

「焦ってもどうにもならないんではないのか?」

「・・・・んなの分かってんだよ。」

「何があった?」

只ならぬ予感を察知して視線をゆっくりとユウヤに移動させる。

「・・・・言えねえよ。」

「あたしじゃ力になれないことなのか?

だったら、みんなはユウヤの力になるといい。

あたしは大通り出てタクシー拾って帰るから。

元々、そのつもりで来てるから何の支障もない。」

よいしょっと紙袋を手に持って、さらばだと手を

上げようと思ったらユウヤに止められた。

「そういう意味じゃねえ!」

「言いたくないことを無理に聞くつもりはない。

だから、ユウヤが困ってるならみんなが居る。

みんなに言えないことではないんでしょう?」

「・・・・・ちげーんだよ」

「ど、どうした?」

ユウヤがおどけてないという不可解な事件が起こっている!?

「言えねえんじゃねえ。言ったら、ヒヨリンぜってえーに

飛び出すから言わねぇんだ。」

「何だと!?」

あたしが飛び出すような事態になっているのか!!

不良メンバーズがこの土地で大騒ぎしてるのか!?

まさか、校内に留まらず鬼ごっこしちゃってるのか!?

わいわいしながらみんなだけで遊んでるんじゃあるまいな。

そんなの知ったら飛び出すどころかショックで寝込むよ。

あたしが知らないところで試験勉強もせずに、

何やってんだって怒る前に拗ねてやるぞ!