Hurly-Burly 5 【完】


「日和ちゃん、危ないから振り回しちゃ駄目だよ?」

「はーい」

顔面に大ダメージの男を他所に馨君から注意を受けた。

「お、お前、何やってんだ!自分が何したか分かってんだろうなっ!!」

それは顔に大ダメージを負った男じゃなく慶詩の足に

引っかかってぶっ転んだ男のもので彼自身があたしを

よもや怪獣を見るかのような目で見てる。

「それ、彼に言ったらどう?あたしに文句を言う前に、

少し付き合ってあげたあたしの親切心に感謝して欲しいわ。」

さっき、馨君が持ってた紙袋を電話対応してる隙に

あたしの手元に戻して良かった。

本当は本を投げるみたいで嫌だったけど、

紙袋に入ってるし汚れないと願った。

「おまっ」

さらに、顔に大ダメージを負った男が何か言おうとした。

「あたし、あなたに助けてなんて言ってないけど?

親切心に見返りなんて求めないでもらいたい。

親切心っていうのはボランティアに似たような意味があるわ。

それを、あなたは自分のことしか考えてないじゃない?

あたし、待つとも言ってないもの。勝手に帰って何が悪いの

か説明出来るものならやってみなさいよ?」

正論を振りかざすと男は一瞬驚いてすぐにククッと喉を

鳴らして笑い出した。

「確かにそーだ。アンタを利用しようとしたのを気づかれる

とは俺もまだまだだなー。よう、お前ら元気にしてたか?」

スッと立ち上がる男を凝視した。

「・・・・誰だ?」

「おいっ、マジで言ってんのか?」

ちぃ君が知らん顔をして男が急に焦る。

「千治、風間さんだよ。ほら、ウチと兄弟分の。」

「・・・・・・・・忘れてた。」

ちぃ君がポツリと呟くと男が脱力した。

ち、ちぃ君の何気ない一言の威力を目の当たりにした。

「ってか、オメェ、口が達者だな。」

母が昔弁護士だったものだからこんなこと別に大したことない。

「と、ところで、そのタチが悪いのって一体・・・」

何だったんだろうか!?

今日中にそれを知っておかないと夜眠れなくなる!!

もしかして、あたしもついに容姿を認められてっ!

声を掛けられたんだろうね?

ぐふふっ、そうだろ!!