Hurly-Burly 5 【完】


かなり前からいつ来るんだろうかとソワソワしてた。

投げられた男が逃げようとしたところを、

「よっと」

半ば焦った男は目の前の金髪に気づかなかったらしい。

不憫な男だなと同情にも似た視線を向けると、

慶詩の足で引っ掛けられてぶっ転んだ人がムクッと

起き上がってあたしの方に視線を向けた。

「な、何か、見られて・・・・ちーさん、あたしの

存在が完全にシャットダウンされたよね。

今のコマは完全にあたしの出番だったよね。

邪魔した!ちぃ君に邪魔されたあたしのささやかな

出番を持ってかれた!」

ちぃ君が前に立って遮断してしまったわけで、

「誰だ、お前?」

話をちっとも聞いちゃいないこのマイペースで

出来た男にブチギレそうだ。

「答え次第でお前消すぞ?」

な、なんて物騒なことを言ってるんだね!

「ち、ちぃ君、きっと人間違えって」

「あんただろ!馬鹿みてぇに本見てるちっこい

童顔女なんて然う然う居やしねぇ!」

「失礼だぞ!ヤツを抹殺しろ!!」

馬鹿みてぇだって?

しかも、人に指差して失礼にも程があるわ。

「ひゃっひゃっひゃ」

そこで笑うなよ、慶詩め!!

「そりゃ、そーだ。」

何か、あたしが馬鹿にされてるような言い方じゃないか!

誰だ、そんな紹介の仕方した奴は!!

けしからんぞ!許してやらんよ!

「あ、」

「よっー。さっきぶりだな。勝手に逃げんなって言ったろ?」

知らぬ間に後ろから手を掴まれてさっきの男がニヤリと笑った。

無駄に色気を醸し出して周りの人に圧倒的な存在感を魅せる。

「今、それどころじゃないのよ!あたしが馬鹿にされてんだぞ?

貴様の出番はもう少し後にしろ!とっとと出番の順番待ちに回ってろ!」

手に持っていた紙袋を振り回して思いっきり顔面に振り上げた。

「ばっ」

そんなことされると思ってなかった男は驚いた顔をして、

あたしの攻撃を直撃して掴んだ手を放した。

いざとなるとあたしの攻撃は意外と役立つことが

この機に証明されたのである。