Hurly-Burly 5 【完】


「あんまり、心配掛けちゃ駄目だよ?」

「・・・・うん、そんなつもりは微塵になかったのね。」

これは100%あたしが悪いと思う。

兄ちゃんが大げさなんじゃなくて、心配させた

あたしが悪いんだって冷静になってきて分かってきた。

「みんな心配してるよ。日和ちゃんに何かあったんじゃないか

って気が気じゃなかった。」

「・・・・・ごめんなさい」

そんなつもりじゃなかったというレベルの話じゃないほど

大きく膨らんでいたいたようだ。

「さっきの人はどうしたの?」

「し、知らんのだ。急に建物の中に入って行った

から今がチャンスだと逃げて来て・・・」

「日和ちゃんは相変わらず無茶するなあ。」

馨君が苦笑いするとでもっと言いながら、

「良かった」と小さく呟いた。

「か、馨君?」

ただ、馨君にこんなに心配させたあたしはとんでもないヤツだ。

優しい馨君のことだから兄ちゃんからの電話で余計心配した

んだと思うと心が痛んだ。

「どうした?」

「馨君は、さ、さっきの人とはお知り合い?」

「あー、さっきの聞かれてたんだったね。

あんまり日和ちゃんにはああいうとこ見せたくないんだよね。

俺の場合キレると止められる人が千治しか居ないからさ。」

「何っ!?」

か、馨君が凶暴化!?絶対にそんなの信じられない。

むしろ、捏造話としか思えない。

「まだ、キレたりしないけどさ。本当に日和ちゃんに

何かあったら相手がどうなるか分からなかったかな。」

さ、サラッと不吉なこと言った!

「か、か、馨君っ!」

「だから、日和ちゃんを怪我させたり、嫌な思い

させたヤツが居たら言うんだよ?」

「そ、それは、因みにどうなるんだ!?」

「さぁね?」

その時、あたしは悟った。

馨君は絶対にキレさせちゃ駄目だ!

何としても食い止めるしかない。

そして、それはあたしにかかってると。

ブラックスマイルは今日も素敵なご健在だった。