あからさまに落ち込んだちぃ君に慶詩と伊織君
が影でコソコソ笑った。
「ぎゃははっ、はっ、腹が・・・」
潔く、ユウヤみたいに笑えばいいものを。
「ちょっと、そこの3人真面目に取り組みなさい!
そのプリントが出来なきゃ今日は帰さないからな。」
馨君と京君とナル君みたいに真面目になりなさい!
進級がかかってるっていうのに呑気にしてる場合か。
「おーおー、慶詩く~ん。聞きましたか、ひよちゃんったら
今日は帰さないってーやらっし~」
「ほー、帰さないってどういう意味か分かってないみたい。」
そこの悪戯コンビだけは二倍にしてやる。
プリント二倍で手を打ってやる。
「いってえー」
「頭に入ってたもんが全部抜けた・・・」
馨君がにっこりと微笑みながらソファーに座り直した。
恐るべき馨君の制裁!
まごうことなき強しだ!
「ひよりちゃん、ごめんね。折角、教えてくれてるのに。」
「う、ううん、お力になれて良かった・・・・」
馨君、苦労してるね!
あたし、少しでも負担が減るようにサポートするからね。
「日和、そろそろ帰る?」
「そうだね、夕飯に間に合わなくなってしまうわ!」
サユが鞄を肩にかけながらこっちに来た。
「それで、どうだね?」
「駄目ね、あれは彩乃が苦労するわ。」
サユが哀れみの視線を彩乃ちゃんに送った。
その視線の先には問題児2人を抱えたもう一人の
苦労人である彩乃ちゃん。
「そうか、あたしも加わるべきだったわ。」
「それもあるけど、あの鈍感がイラつくわ。」
「へっ!?」
サユがキョトンとするあたしに目を見開いた。
「あんた、気づかなかったの?」
「な、何にでしょうか?」
「あー、あんたも鈍感だったの忘れてたわ。」
ど、どういうことだね!!
あたしは勘が鋭いのだからな!
鈍くなんてないんだもんね!!
心外だわ!いくら、サユたんでもあたしショックだよ。

