最後の応用問題が凡ミスしてるだけで後はよく書けてる。

公式を馨君と一緒に覚えてた甲斐がある。

「すごいよ、ナル君よく頑張ったね。」

数学苦手だったナル君がここまで進歩するとは

あたしも教え甲斐があるってもんだ。

「へへっ、ヒヨリンに褒めて貰いたかったんだ!」

可愛く照れ笑いするナル君は究極に可愛すぎる。

「日和ちゃん、さすがだね。ここまで予想してる

とかやっぱり天才って呼ばれてるだけある。」

馨君が予想問題をペラペラと捲っている。

「役に立って良かった!」

「・・・・この問題は引っ掛けか?」

京様があたしにご質問だわ!!

「うむ、鋭いね。この部分は数学教師の十八番なのだよ。」

「・・・・確かに、前引っかかった。」

「京君って真面目だよね。」

プリントをジッと見ている京君が顔を伏せた。

「・・・・・真面目じゃない」

「そう言ってる人って大概真面目なんだよ。」

京君、本当に照れ屋さんだな。

プリントで顔を隠されて表情は見えなくなった。

「ちぃーさん、ちぃーさん」

ちょっと、たい焼きモヒモヒしてるのはいいけどさ!

「ん?」

プリントに小豆落とさないでくれないか!?

でも、しっかりとプリントに書き込みがある。

「ちぃ君って文系が苦手でしょ?」

「・・・・・・あんまり好きじゃない」

「大丈夫、何のためにあたしが居ると思ってんのよさ!!」

「お前は自分の勉強しなくていいのか?」

「教えるのも勉強の内っていうの知らないのか?」

とりあえず、ちぃ君の古典が心配だ。

平家物語の一節で九夏三伏のあつき日は、

泉を“むすび”て心をなぐさめというのが正解なのだが、

むすびをおむすびにしてる!?

どうして、おむすびころりんになっちゃうの!!

横の空白にはおにぎりの絵が描いてある。

「ちぃ君が食いしん坊キャラに!?」

だ、駄目よと思っておむすびの描かれた紙を

丸めてゴミ箱へ投げた。