ちぃ君の頭を満足出来るほどに握って、

ほっこりしているとちぃ君の腕に引き寄せられて

グッと腰に回った手に力が入る。

「ち、ちぃ君?」

「・・・・・・俺のこと嫌いか?」

切なげにあたしを見上げるちぃ君に、

何故か分からないけど心が締め付けられた。

「嫌いじゃないよ。」

嫌いなわけないでしょう?

「・・・・・俺にだけ冷たい」

「なっ!そんなことないよ。」

それは、藍ちゃんに悪いかもしれないって思ってだな。

実に、どう接したらいいのか分からないだけであって、

普通にする仕方を覚えてないのかもしれない。

「嫌いになるなよ」

柑橘系の爽やかな匂いが鼻を掠める。

「なるわけないよ。嫌いになんてならないよ。」

ポンポンっとちぃ君の背中を優しく叩く。

「どこにも行くなよ―――――」

「ちゃんと、お傍に居るじゃないか。」

不安を取り除ける言葉を掛けてあげられてるかな?

あたしが雷で弱った日に貰った勇気返せてる?

「―――――お前に居なくなられるのは怖い」

ちぃ君、あたし今傍に居るよ?

「怖くないよ。ちぃ君は最初っから1人なんか

じゃないからね。あたしはもちろんのこと

みんなちぃ君のこと好きだから傍に居るんだよ。

だから、怖がらなくたっていいんだ。

寂しくなったらあたしが誰よりも先に駆けつけてあげるよ。

へへっ、あたしじゃ頼りないかもしれな」

「お前がいい」

何だろうか、ギュッと抱きしめる力が強くなる。

「ふふっ、ちぃ君そんなに寒いの?」

「・・・・・・鈍感」

ムッとしているちぃ君が少しだけ笑った。

「ひひっ、ちぃ君の寂しいがどっか飛んでいった?」

「まだだ・・・・多分」

ふわりと漂う柑橘系の香りが雪混じりにそっと香った。

フッと笑うちぃ君の背中をポンポンっと叩き続けた。




“あたしはここに居るよって意味を込めて”