自分でも無意識に片手を伸ばしていた。
反射的にビクッとするちぃ君に躊躇わず、
クシャっとふんわりした髪を撫でる。
手袋を外してコートのポケットに突っ込んだ。
「よしよしっ」
猫みたいだなって思いながらちぃ君の方を
見ると一瞬驚いたような顔をしてすぐに目を瞑った。
嫌がることではないのか良かった。
それにしてもどれだけ待っていたんだろうか?
髪の毛に触れた指先がひんやりと冷たい。
何か、温かいものを探さねば!
キョロキョロと視線を彷徨わせていると、
自動販売機を視界に捉えた。
よしっ、温かい飲み物を購入してやろう!
やっぱり、体内から温まるのが効果的よね。
パッと手を放して自動販売機へ歩き出そうと
した瞬間、後ろに引っ張られて気がついたら
ちぃ君の腕の中に閉じ込められた。
「な、何をする!?」
ただ、その手の冷たさにビックリして振り返ろうとした。
こんなに冷たくなるまで外で待ってたのか?
何で、家に入ろうとしないんだ!
風邪ひいたら心配する人がどれだけ居ると思ってるんだ!
言いたかったのに、背中にポンっと何かが当たった。
「お前も俺から離れてくのか?」
切なげに降り注ぐ声に言葉を失った。
お前もってどういうことだ?
誰も離れてなんかいないじゃないか。
あたしはただ自動販売機に行こうとして、
多少は距離があるものの戻ってくるつもりで、
こんなちぃ君ほっとけるほど冷たいヤツじゃない。
「ちぃ君、お汁粉飲みたくないか?」
「・・・・・・飲む?」
パッと顔を上げるちぃ君に自販機を指差して笑った。
「一緒に来るかね?」
コクリと頷いたちぃ君に手を差し出した。
「今日はあたしの方がhotだからな。」
前に、あたしが雷で怖がった時に
ちぃ君の手にどれだけ心強いと思ったことか。
今度はあたしが差し伸べてあげる番だ。
理由なんてどうでもいい。
言いたくないことを話せと言うつもりも無い。
ただ、頼りにしてくれたってことでいいのかな?
あたしに会いたいって思ってくれたのは
頼ってくれたんだって思ってしまうからな!

