は、花嫁修業してきたんだろうか!?

菜南子先生、良い奥さんになるに違いないよ!

それから、兄ちゃんがとにかく煩かった。

菜南子先生はそれに付き合ってあげてて、

あたしは心底菜南子先生を尊敬した。

「ひーちゃんとナナちゃん居ると幸せだなー。」

だったら、早く結婚しちまえよと思った。

菜南子先生はお兄ちゃんと同じ年だってことが発覚した。

「絶対、お兄ちゃんの方がいいでしょ?」

「そんなことないわよ。私、無邪気な人が好きなのよ。

だから、透真を好きになったんだと思うわ。」

人の趣味は分からんとはこのことか!

「兄ちゃん、菜南子先生大事にしないとシバくよ!!」

「せやで!こないべっぴん逃したらアカン。」

師匠もご機嫌でご飯を食べてる。

菜南子先生はちっとも驚いてない。

多分それほど寛大な人なんだと思う。

夕食を食べ終えてデザートに苺を用意しておいた。

そこまでは良かったんだ。

ちゃんと、準備万端に用意しておいたから。

「あれ?ひーちゃん、練乳がないよ!!」

冷蔵庫を開けに行った兄ちゃんが、

困惑に満ちた顔をこっちに向けた。

あたしは苺のヘタを取りながらムシャムシャ

食べていてため息を吐いた。

「切れてるんだよ。今、買ってくるから

ちょっと待っているんだ。」

兄ちゃん、練乳なしで苺を食べてくれよ。

素材のそのままの風味を味わうんだ!

「はーい、気をつけるんだよ?」

そして、防犯グッズをズイっと差し出す

兄ちゃんに絶対零度の視線を向ける。

「日和ちゃん、車で行こうか?」

「あ、いえ。菜南子先生は今日はお客様なので

兄ちゃんのお相手をお願いします。」

心配するわりに兄ちゃんには配慮が欠けてる。

コートとマフラーを体に羽織って、

手袋を装着して財布とケータイを片手に

外に飛び出すともうすでに暗くなった夜空は

星一つなくて暗黒が広がってた。