このところ、寒い日が続いてたからな。

今年はいつ雪が降るんだなんて騒ぎ立てていた

1月は結局降らずにようやく降ったと思ったら

このすごい積雪に一面に輝く銀色世界だ。

「この後、おでんを買いに行きましょう!」

早く春がやってくるのかと思えばこうやって、

あたしを悩ませる冬は過ぎ去らない。

もう残された時間なんてほんの少しで、

あたしの決意は決して変わらない。

どうせなら、もっと早く来ればいいのに。

見えてきた和菓子屋さんは雪の降った日でも

開いていていつものおばあちゃんが笑って出迎えてくれた。

雪が降ったから中身に生クリーム入ってるんだよと

おばあちゃんが得意げに話しかけてくれた。

後は、どら焼きも買っていこうかなと思って、

結局紙袋には和菓子が大量に詰め込まれた。

「ヒヨリン、おでん行くのか?」

「寒い日にこそおでん!」

よっちゃんと並びながらおでんの良さに

ついて語り継いで目的のおでんを購入して、

学校に戻って自慢しながら食べた。

その後は、サユと一緒に帰るつもりだったから、

和菓子の詰めた紙袋をナル君に預けた。

「仲良く食べるんですよ?」

「うんっ!ヒヨリン、ありがとうな。ちぃー、喜ぶ!!」

「そうだといいですが、今夜も降るらしいので

あんまり遅くならないように気をつけるのだよ?」

不良メンバーズにも聞こえるように言うと、

「「「はーい、ひーちゃん!!」」」

素直に言うこと聞いてくれた。

送っていく気があったらしいのだが、

菜南子先生が送ってくれることを告げると、

ユウヤから気をつけて帰れよーと言われた。

どうも、今日は菜南子先生もご一緒に夕飯

を食べようってことになってる。

兄ちゃんが朝からウキウキしてたのには理由があったのだ。

マグロを釣りに行くと昨日の夜は意気込んでて、

散々説得してマグロ漁に行くことを断念させた。

そのことを帰りの車で話すとサユは絶句、

菜南子先生は呆れてため息を吐いてた。