その日は酷く寒い日になった。




天気予報でもお姉さんが朝から交通情報には

気をつけましょうとか何とか言っている。

「ひーちゃん、学校まで送ってこうか?」

兄ちゃんが送るんじゃないでしょうよ。

朝ごはんを食べてる最中、味噌汁をズズっと

啜ってる兄ちゃんがケロッとしながら聞いてきた。

「藤永さんでしょう?兄ちゃん、毎日迎えに

来てもらうってどんな制度なんだ?」

大体、可笑しいではないか!

就職先がポンっと見つかったのは分かったが、

どう考えても上司に送ってもらう人居ないよ。

一体、藤永さんは兄ちゃんにどんな弱みを握られてるんだ!?

「んー?」

卵焼きをモグモグ食べる兄ちゃんを見ながら、

呑気な人だなと改めて思い知った。

「おはようございます。日和、支度出来た?」

リビングにひょっこり顔を出したサユちゃま!

「サユ、おはようございます。今すぐ、行くわ!」

丁度、食器を片付け終わって手を拭いて

すぐにソファーに用意したものを取りに行った。

手袋を装着して兄ちゃんに行ってきますと

言いながらサユと一緒に家を出た。

外には車の運転席でダディがこの雪が降り積もる

中でもクールな姿勢を崩さない助手席で本を

読んでいる修平君相手にペラペラ喋りかけてた。

お、温度差が激しい・・・・!

ダディを見ていると少し春に近づけるような気がする。

しかし、この親子の温度差は対照的だ。

「おはようございます!」

サユが後部座席のドアをガラガラ開けて、

奥に入っていくのに続いてお邪魔させて頂いた。

「ひーちゃん、寒くない?暖房ガンガンつけてるから

寒かったら言うんだよ?」

ダディを見てるだけでポカポカです。

寒さが吹っ飛ぶほどの熱い男です。

修平君が早く出せと視線で訴えてる。

ダディ、息子さんがとってもクールで

極寒の世界へ旅立ちそうであります。