「ぐはっ」

足が縺れておっとっとをするあたしにポカーンと

容赦なく叩いてきた。

屈辱的なことに顔をパッと上げると、驚きすぎて

言葉にならなかった。

「●×△★□◇!?」

「どうした、お嬢ちゃん?」

モカブラウンの無造作な髪が揺れる。

目の前で手を振っておちゃらける伊織君に

目を瞬かせる。

「い、伊織君?」

「じゃあ、誰だと思ってんのかな~?」

その意地悪そうな笑みを浮かべる伊織君に、

そこでようやく目の前に立ってる男が伊織君だと気づいた。

「ガハハっ、宇宙人の変装じゃなかろうな?」

「・・・・・・・白ける。」

伊織君の白い目にハートが弱った。

「わ、わわっ、こんなところで偶然ですだ。」

か、噛んじゃった!

ですだって何とかツッコミ入れて!!

無視は傷つくんだよ。

伊織君の瞳に指導権を握られたように、

真っ直ぐと射抜かれる。

「や、やあ!よろしくやっとるのかね?」

「何だよ~、見てたくせに声かけねえなんて

伊織君寂しいじゃ~ん。」

み、見てたのに気づいてたのか!?

気づかれないように2秒で終わらせたあたしの

新技は意味を成していなかったのか。

こ、これは改良の余地があるという意見ね。

それにしても、伊織君の透視能力は恐るべしっ!

魔導師というと厄介じゃないか。

「い、伊織くっ」

な、何だこの目の笑ってない笑みを浮かべる魔導師は、

新手の術をかける気か!?

ドロンドロンドルデンパカリオンとか変な呪文唱えられて

カエルとか牛に変えられたらどうしようΣ(゚д゚lll)

いや、伊織君のことだからそんなの朝飯前だわ!

カエルとか牛なんてまだ可愛いもんだわ。

伊織君なら獰猛な動物に変えられそう・・・((((;゚Д゚))))