結局、作ったケーキ全部平らげた。

恐るべく成長期男子高生の食欲に完敗である。

「ヒヨリン、うまかった!」

「それは、良かった!」

ナル君の口元が緩んでいる。

可愛く笑うナル君は天使さん。

「「「「ヒヨリン、ホワイトデーはビックなもん

用意しとくぜ!!!」」」」」

「えっ?だから、要らないよ・・・・」

別にふんだくろうと思ってこんなに

作ったわけでもない。

ホワイトデーとかどうでも良かったもの!

「しかし、あたしもホワイトデーは何を返すべきかしら?」

今日はバレンタイン。

もちろん、女の子から貰うことも多々あった。

何故か、先輩からもたくさん貰った。

「ヒヨリンがダントツで貰ってんじゃね?」

ユウヤがギョッとした視線で積み重なった

プレゼントを見た。

「モテ期到来!?」

「女子にモテてどうすんだ。」

慶詩のツッコミは敢えてスルーしたい。

「そうは言ってもこんなに貰ったことない。」

今まで素通りしてきたバレンタインという行事。

もちろん、女子に貰うなどありえなかった。

「良かったね。」

馨君が優しく微笑むのを見て頷いた。

「何が欲しい?」

「だから、何も要らないと・・・・」

鋭く光る漆黒の瞳に言葉を止めた。

「ちーさん、それじゃ親父が娘に

何か買ってあげてるみてーよ?」

伊織君、あたしもそんな気分だった!

「ん?」

「要らないって言ったら納得しないのだよね?

だったら、焼き鳥食べたい!美味しい焼き鳥

お腹いっぱい食べたい!!」

その答えが予想外だったのか一瞬静まり返った

この場にすぐに笑い声で包み込まれた。