それをすぐに察知した伊織が慶詩に近づいて
ニタリと笑った。
「なーに?心配しちゃってるって顔してねえ?」
「んなもんすっかよ。」
慶詩が全否定するのをよそに伊織は楽しそうに
ヘラヘラ笑うのだった。
「・・・・・ケーキ」
「へえ?慶詩にしちゃいいこと言ってたのにか?」
「伊織・・テメエ!!」
慶詩が顔を上げて伊織のヘラヘラした顔を、
引っ張って威嚇をする。
「ムキになっちゃうなんて怪しい~?」
それを意地悪く面白そうに笑う。
「慶詩!仲良くしろよ。」
そこにキューティーナルの登場で、
慶詩が伊織をギロっと睨んだ。
「ケーキ、食いてえなー。」
先程から恋する乙女のようにケーキを焦がれる
この学校で最もケーキに恋するボス。
「千治、放課後まで待ってれば日和ちゃんが
持ってきてくれるよ。」
「でもよ、ヒヨリンこの行事気にしたこと
なかったんだろ?」
馨の言葉を待たずにユウヤが不思議そうに言った。
「気にしたことないって思ってんのか?」
スッと下駄箱から出てきた相沢と村田。
「そりゃ、残念ながらひーちゃんも女の子
だった日があんだよな。」
「お前ら、隠れて見てたのか。」
教師2人に対して何の躊躇もなくお前発言。
不良ならではのことで特に気にしない2人。
「「まぁな」」
※ただ単に面白くて逃げたフリをしただけです。
「どういうことだ?」
さっきまで、ケーキに恋焦がれる千治が
鋭い視線を向ける。
「やだなー、ボス。ウチの可愛い姫は
本当に強情で滅多に笑わねえの。
ああやって、笑ってケーキ作るなんて
お前ら大したもんだよ。」
角を曲がる日和に視線を向ける相沢が
ニヒルに笑った。

