不良なのは良くわかったから、地球に、

周りに優しい不良さんになってくれればと企んでいる。

「お前、それ意味あんのか?」

「何言ってる!留年になったらあたしの責任

になるってことじゃないか。悪魔ならやりかねないわ。」

とにもかくにも、そんなのあたしのプライドが許さない!

「留年って・・・もうその心配ないって言ってたような。」

馨君がぼそりと呟いた。

「だ、駄目だ!その油断が大敵なの!大人しくしてなさい!」

「オメエに言われたくねー。」

「なっ、あたし大人しいもん!!」

「どこがだ?」

むむっ!どこが大人しくないって言いたいの?

「日和、予鈴鳴ってるわよ。」

「げっ!急ぐよ、さーちゃん。」

朝から遅刻だなんて駄目じゃないか。

「とにかく、今日1日大人しくしてたら

とびっきり美味いものを食べさせてやってもいいですよ。」

精一杯の上から目線攻撃をするも、

身長の差がありすぎる。

「それじゃあ、大人しくしてるよ。

とくに、暇だし日和ちゃん心配しないで行っておいで。」

「か、馨君!」

いつものように穏やかに笑う馨君に、

自然と笑みを浮かべた。

「ヒヨリン、楽しみにしてっかんな。」

「任せたまえ!」

ナル君に手を振ってサユの後を追った。

今日は世に言う女の子の勇気を与えてくれる1日。

あたしは、日頃の感謝を込めて送ろうと思う。



――――――・・・・・

「日和ちゃん、張り切ってるみたいだね。」

馨の言葉にナルが満面の笑みを浮かべる。

「ヒヨリンお菓子作るの得意だもんな。」

家庭科室に向かって早足の日和を心配そうに見る。

「ケーキ・・・」

廊下を走らない日和の後ろ姿が遠ざかっていく。

それを前に居るサユリがちょこちょこ心配なのか

振り返って確認する姿が見られた。

「最近は、調子がいいじゃねえーの。」

伊織の言葉に慶詩がピクリと肩を揺らした。