バレンタイン本番の当日の朝は戦場のようだった。

朝から、下駄箱にチョコレートを詰め込んでる女子を

多数目撃するも、モテる男は辛いね。

「佐藤のとこヤバイわね。下駄箱の原型が最早ないわ。」

サユが呆然と立ち尽くす。

「確かに・・・でも、確か佐藤選手マフィンとか

好きっぽかったけどな?」

この前あげた時は多分喜んでいた。

「何でそんなことあんたが知ってるのよ?」

「えっ、この間の調理実習で余ったのを

お腹がすいてそうだったから一つ分けて・・・」

こちらも負けてないと思うのです。

「ウチのクラスはモテる男が多くて困るねぇ。」

「全然、困ってるどころか笑ってるじゃないか!」

朝から悪魔の顔を見るとか今日は厄日だわ。

「しっかし、すげーな。」

言ってることは頷けるのです。

だって、ダンボールが置いてある時点で

次元が違うだろうよ。

誰がここにダンボール置いたんだよって話だ。

ちぃ君のとこも馨君のとこもナル君のとこも、

京君のとこも慶詩のとこもユウヤのとこも、

伊織君のとこも山になるほどのお供えものでいっぱいだった。

「お供えものをするほどの偉人にはまだなってないと

思うのですが!?」

そんな偉いヤツにでもなっちまったてのか!

「あんた、人とズレたこと言うよね。」

「えっ!?」

ず、ズレてるだと!?

「ず、ズレてない!!」

「何で、あんたが頭髪気にしてるのよ。」

「ズラじゃないよ!!」

「分かってるわよ。」

サユに心底飽きられたのは言うまでもない。

「しっかし、こんなところでも妄想するとはなー。」

「う、うるさいぞ!」

「あー、あー、この仏頂面の委員長の実態が

妄想突っ走り少女なんて知られたら大変だね?」

い、嫌味か!

むしろ、そこの茶髪!

貴様の方がよっぽど詐欺まがいな正確じゃないか。

顔だけ良くたって見てる人は見てるのよ!