――――――校内に一歩踏み出した瞬間から・・・・


「うおおおおー、女子だ!!!」

その大絶叫に波のように押し寄せてくる全て

男という事実にげっそりした。

「ひっ!!」

う、飢えたピラニアというのはこれのことか!?

伊織君の話をちゃんと聞いとくべきだった!

「よ、邪な邪念を感じるのだが!!」

「身の危険ってヤツだよね?」

馨君、あたし二度と来ないよ。

こんなに人に囲まれたら・・・・蕁麻疹発症する!!

「ど、どうしよう、は、吐く!!」

その前に、気分がすこぶる悪くなりそうだ。

「大丈夫?ユウヤ、紙袋用意させて。」

馨君の指示にしたがって、ユウヤが紙袋を

そこらへんにいる人から分捕った。

「オメェが女子に見られるなんて大したもんじゃねーか。」

「慶詩に向かって吐いていい?」

「やめろ!!」

吐き気は吐く前に収まったけどさ、人が集まって

来るなんて一体何が起ころうとしてるのさ!!

「・・・・失せろ」

ボソッと呟いたちぃ君によって一斉に撤退する

男子の波は凄まじかった。

その速さは音速を超えていたに違いない。

「ちぃ君、機嫌悪いのかい?」

「・・・・・お前が気分悪くなったんだろうが。」

「あたしが気分悪くなると機嫌悪くなるのね!!

分かったわ、極力元気ハツラツで居るわ!!」

「日和ちゃん、多分居なくなったら大丈夫に

なるだろうからって千治思ったんだと思うよ。」

馨君の言葉にちぃ君がコクリと頷く。

「えっ、そうなのか!?気づかなくてすまん。」

「・・・・・離れてれば大丈夫か?」

ちぃ君、そんなこと思ってたとは優しいところあるじゃないか!

「あ、ありがとうございます。」

ぺこりとお辞儀をするとちぃ君もどういたしましてとお辞儀した。

「無理はするな。」

優しいちぃ君を知っています。