校門に立ってるだけなのに痛い視線が突き刺さる。
「な、何故か、寒気がするのだが!」
何か、変なものでも食べたかしら?
「1人で来ちゃ駄目だよって言ったんだよ。」
「ふむ」
「ほら、ここ男子校だからいろいろ危険なんだよ。」
「き、危険って一体何が!!」
「大丈夫、一人じゃなきゃいいから。」
「そ、そ、それって、つまりあたしが頼りないと!?」
な、なんてこっただわ。
馨君にはあたしが頼りないヤツだと思われてたのね。
「飢えたピラニアがいっぱいだって覚えときゃいいじゃね~の?」
「伊織君、飢えたピラニアを見たことがあるのか!?」
そ、それは意外なことを知ったわ。
「例え話じゃねーか。」
「見たことはないのか!?」
「ねえよな、普通に考えてみてみろよ。」
「なっ、嘘吐いた!!」
インチキ魔導師って言ってやるわよ。
校門を潜ると更に視線を受けて体に
穴があくかもしれない切羽に詰まった。
「でもさ、他校に乗り込んでいいのかね?」
「この時期だったら大丈夫じゃないかな。」
「ど、どうして?」
きゃーっと地響きのような黄色い声が聞こえて
来てギョッとした。
「どこもかしこもバラ色世界だわ!」
そうさ、恋する乙女がその想いを伝える
特別な日がやってくる。
「あっ!ちょっと、隠れて。」
みんなに隠れるように促す。
すぐ近くで発見したとある人物が女の子に囲まれてる。
「さすがじゃないか!!」
そういえば、中学時代からモテモテだった。
本人に自覚があるのか分からないけど、
この時期よくあんな光景を見たような気がする。
それでも、彼はたった1人の女の子以外受け取らない。
「マコ君って絶対に浮気しないタイプだよね。」
ごめんねと謝って誠意を見せる。
そんなマコ君はどう見たって一途な男の子だ。

