スーパーと言えば、専業主婦の戦場だった
ことをすっかり忘れてたあたしが悪い。
「あわっ。」
散らばったチョコレートに群がる女子に
最早手遅れだった。
【完売】の紙が貼られて途方に暮れた。
「今ので、マジで女怖えーと思った。」
「ユウヤ、然と覚えておくのだ。
あれが本来の姿であるということを今後の教訓にしておくんだな。」
京様がさっきから真っ青な顔をしている。
「・・・・・・・・・」
「京君、何か食べたいものない?」
もしかしたらとは思ってた。
京君が女の子苦手なのは薄々気付いてた。
だから、無理に付き合ってくれてるんだろうなって
思ってたからこれ以上はさすがに自力で何とかしよう。
「急に何?」
「ほら、京君の頑張りを称えて何か買ってあげる!」
「・・・・・・いい」
ふいっとそっぽを向く京君。
「駄目よ、もらってくれなきゃ明日下駄箱に
入れとくよ!!」
「やめろ・・・・・・」
「じゃあ、何がいいか言ってみて?」
「・・・・・・・・そう言われると困る。」
こ、困ってる京君さらにいい!!
照れてる京君並に美しいものだ。
「京君、好きな食べ物は?」
「・・・・・・・・・・・・」
「嫌いな食べ物とかありますか?」
「・・・・・・・・・・・・・」
か、会話にならないっ!
「京、これ一緒に食うか?」
またもや、ちぃ君か!!
あたしの邪魔を何度すれば気が済むのよ。
ピザコーナーのピザを手にちぃ君が京君に
尋ねると京君は少しだけフッと口元を緩めた。
「ちぃ君、ズルい!!あたしが京君に買ったげる
のにいいとこ取るなんてけしからんぞ!!」
プンスカ怒るあたしに首を傾げるちぃ君と来たら
無自覚過ぎてシャレにならない。

