【CASE3:日和と7人の小人たち】
とにかく、チョコレート売り場は戦場だわ。
「日和ちゃん、何してるの?」
「防弾チョッキを身につけるのだ!」
何があっても可笑しくないもの!
敵の襲来に向けていつでも向かい打てる
手はずを取っておかなきゃ戦いを制する
ことなど出来やしないわ。
「いや、それはさすがにねえだろ。」
「な、何を生ぬるいこと言ってんだ!」
この防弾チョッキでいくつの命が守られて
来たと思っている!!
「つーか、それはどこから手に入れたんだよ。」
慶詩がうんざりした顔をした。
「兄ちゃんのクローゼットの中に入ってた。」
「テメェの兄貴、何してんだよ!!」
「知らんよ。防弾チョッキが嫌ならこの
盾を貸してやっても良いぞ。」
ふんっこの盾は意外にも重かったぞ。
「いや、マジでいらねえよ。んなもん
ぜってえに必要ねえだろ。」
「き、君たちは本当の恐ろしさを知らないから
そんなことが言えるのよ!!」
闘争心に燃える女子の戦いを見たことがある!?
ワニとライオンが小鹿を取り合う様子に
似てるって兄ちゃんが言ってたんだからな。
「ねえね、おねーさん、綺麗だよね~ん。
これから、時間空いてたら俺と」
バシっと伊織君の頭を叩いた。
「おだまりっ!」
伊織君のフェロモンは女子を虜にする
能力が備わってる!?
さっきのお姉さんが目をハートにさせる。
「な~に?ひよちゃんがイチャイチャしたかった?」
「s、Shut up!」
い、伊織君フェロモン恐るべく魔力を秘めている!!
も、もしかすると、これは勝てるわ!!
そうさ、女子はイケメンに弱いって鉄則の
掟があったじゃないか!!

