どうして、そこまで必死になれるのだろうか?

そんなにならなきゃいけない日なのか?

今まで、素通りしてきたような日なのに、

毎年ダディと修平くんにあげれば喜んで

くれるからそれでいいやなんて思ってた。

「オメェ、今までスルーしてきたんだろ?」

慶詩が、雑誌から顔を上げてやれやれって顔をした。

「スルーってバレンタイン?」

そもそも、バレンタインの定義が間違ってるのよ!

「紗友梨ちゃんがそう言ってたよ。」

馨君が柔らかく笑うから少し拗ねるような言い方になってしまう。

「甘いもの嫌いなんだもん。」

それに、父さんも兄ちゃんも居なくて

誰にも作る相手居なかったからダディや

修平くんに作るのが毎年の恒例になりつつあった。

「それに、好きな人以前に友達も少なかったし・・・・」

そりゃ、中学2年までは毎年あげる人は居たさ。

しかし、居なくなったのだからあげることも出来まい。

「・・・・可哀想なヤツだな。」

「け、慶詩に言われたくない!」

同情されるとかあたしのハートをズタズタにする気か!?

「今年はそしたら配る人多いんだろうね?」

「友達がこれだけ多いのは人生初めての快挙だ!」

馨君、あたしのハートを守ってくれた!!

「あ、勤労感謝の日忘れてたからやっちゃんさんと

ターヤンさんにも作らないと!!バレンタインの日に

渡しに行きますからって言っといて。」

「日和ちゃん、泣いて喜ぶと思うよ。」

馨君が優しく笑うからやっちゃんさんとターヤン

さんが泣いてるとことを想像してみた。

「せ、世界の破滅が訪れる前触れっ!」

あの強面さん2人が泣いてるところなんて

想像しただけで恐ろしや。

「一応、2人とも人間なんだけどな。」

「でも、やっちゃんさんもターヤンさんも

モテそうなのだが、彼女とか居るのかな?」

さすがに、居たら彼女に悪い気がするから

義理チョコですっていうシールでも貼り付けた

方がお歳暮っぽさが出るよね!!