節分が終わってすぐのことだった。

放課後、女子が今までにないぐらい盛り上がってた。

他のクラスの子まで来てうふふしていたのだ!

これは、大スクープの予感であると察知した

あたしは校長先生に提出する予定だったレポート

を机に置き去りにしてそっと近づいた。

※因みに、サユちゃんはクルミちゃんと彩乃ちゃんと

コンビニにお菓子を買いに行きました。

そろーっと近づくと雑誌を中心にピンク色の

世界が旋風していたのだ。

な、何があったというのかしら!?

口に手を当てて心当たりを考えてみる。

この時期に何かそんな女子度を上げるような

行事なんてあたしの知る限りないぞ!!

もしかしたら、卒業が近いからとか?

それにしたって、女子がこんなにも

大量に教室に居てはレポートが書けまい。

鞄を持って、ソロソロっと教室を出ると

佐藤君がサッカー部の練習着ですれ違った。

「おっ、立花。委員の仕事か?」

「いいえ、これは個人的な問題なのでご心配なさらず!」

「そっか、委員の仕事だったら俺も手伝うから

無理するなよ。」

「あ、どうも、それは心強いわ。」

と言っても、今日はとくに何もない。

毎日あるようなことでもないのでな。

「そう言えば、佐藤君はあれの理由ご存知ですか?」

教室に集う女子に視線を向けた佐藤君は、

さっぱり分からないという顔をしてすぐに、

ひらめいたのか気まずそうに口元を抑えた。

「うん?」

ご気分でも優れないのかしら?

「あの、お腹空いてるのでしたら今日家庭科

の授業で作った残り物で申し訳ないのですが、

これお腹に入れて練習頑張って下さい!」

鞄から今日調理実習で作ったマフィンを

取り出して佐藤君の手のひらに置いた。

「甘いもの苦手じゃなかったら食べて下さいな。」

「も、貰っていいの?」

「あ、はい!もちろん、佐藤君とは良き戦友仲間ですから!!」

折角、久しぶりの登場させてたのに前の回ではほとんど

影の薄い存在になりかけてたもんね。

作者からの配慮だよ!あたしの鞄にマフィンがあったのは。