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「結局のところ、日和ちゃんって素直なところもあるよね。
意地張るときは頑なだけど、素直な時ってサラッと言う
から困った子だよね。」
馨の言葉にナルとユウヤが頷いた。
「なあ、千治。結局のところどうなんだよ?」
慶詩の言葉に全員が千治に視線を向けた。
「俺は知ってるけどね~」
千治がオレンジの髪にした理由を知るのは
幼なじみである伊織のみぞ知る。
「何だよ!もったいぶるなよ。」
「それが、ふがっ」
伊織の口を塞いだ千治にやれやれと伊織が
ジェスチャーをした。
「・・・・アイツ、忘れてんだもんな。」
そうボソッと呟く千治の声は誰にも届かなかった。
「あの時はいきなり変わってたからな。」
ユウヤがだよなと同意を京に求めた。
「確か、慶詩が染めたんだよな?」
ユウヤの言葉にドヤ顔の慶詩。
「俺様が器用なことに感謝しやがれよ!」
※本当に慶詩は器用なので文句は言えません。
“あたし、オレンジが好きなんです!”
それは少女が高校に入る前の出来事。
「ちぃーって、オレンジの飴しか食わないよな?」
不思議そうに問いかけるナルにフッと千治は笑った。
「アイツがくれるのがいつもオレンジだから。」
テーブルの小物入れに入ったおなじみのキャンディーを
取って口に放り込んだ。
伊織がこっそり千治に呟いた。
「あの時の子がまさかね?」
「どうだろうな。」
「ちーさんって一途だよね~」
「知らねえよ。」
「とか言って、忘れられてることにショック受けてたじゃね~の?」
「(つд⊂)」
それは、オレンジ色の髪になったきっかけ。
オレンジ色の彼の秘密であり、彼女はきっと覚えてない。

