「ヒヨリン、無茶なことすんなよ?」

「何か、日和ちゃんを一人に出来ないよね。」

あれから、とにかく馨君とナル君が心配性過ぎる。

「大丈夫だよ、この間の2人の実演のお陰で一度

確保したのに油断したあたしが悪かったわけだし・・・」

ポーズを取っていたから逃げ遅れましたなどとは

絶対に口が裂けても言えぬ状況になっている!

修平君もどのタイミングで出ればいいのか分からなくて

困っていてあのタイミングで出たんだとか。

本当は少し前から居たと聞いた瞬間青ざめたよね。

何かを悟ったような顔をした修平君がどうか

あたしと口を聞いてくれますように!

「何で、油断したんだよ?」

ゆ、ユウヤ、ここは空気を読もうじゃないか。

「どーせ、またお得意の妄想劇繰り広げてたんだろ?」

慶詩のヤツううううううう!!

的を外してないから文句の付け所もない。

「あ、生憎、妄想をしていたわけではない!」

く、悔しいからって自爆しようとするなあたし!!

早まってはイカン。

「せ、説教をたらし込んでいたんだ。」

う、嘘じゃないんだもんね。

ちゃんと、悪役はもう少し知恵を出せと言ってやったもんね。

「・・・・・・想像すると笑えるね。」

京様、全然笑ってないよね。

最早、冷えててその絶対零度の瞳に召されそうであります。

「日和ちゃん、女の子なんだからそういう危険だって

思ったときはすぐに逃げなきゃ駄目だよ?」

「だ、だって!」

逃げるわけには行かなかったから。

「そーだよな、オメェ、何で着いてった?」

慶詩がストローをふうっと吹きながらこっちに

視線を向けて来て狼狽えた。

「そ、それはだな、・・・ご、強引だったんだ!」

「ふーん、っつことは、オメェに何か用があったわけだ?」

す、推理探偵にでもなりきった気で居るのか!?

慶詩の分際でそんなことが許されると・・・

「何だよ、この変装グッズはよう。」

呆れた表情を浮かべる慶詩にギョッとした。

「探偵になりたいんではないのか!?」

テメェの脳みそぶちまけてやろうかって

笑みを向けてくる慶詩にヘルメットを被って防御した。