噴水広場の約束の場所に着くと降ろしてもらった。
「紗友梨、遅くなるようだったら連絡して?
迎えに来るから気をつけるんだよ。」
こ、これが理想の兄像でしょう!
真君を家の兄ちゃんと交換して欲しい!!
「うん、お兄ちゃんありがとう。」
したら、この返しで納得行くわ!
「ひーちゃん、兄ちゃんは寂しいです!!」
一生の別れじゃないんだからそんなに
落ち込むことないだろうよ。
「真君が居るじゃないさ!」
「ひーちゃん、変な人に着いてっちゃ駄目だよ!」
「あたしは幼稚園児か!」
「あー、どうしよう。ひーちゃんの可愛さに
街の人がゾンビのようにひーちゃんに襲いかかったら
兄ちゃんはとっても怖いです!!」
「最早、その妄想が怖いよ。」
「透真さん、日和のことはあたしが居るので安心して下さい。」
サユがにっこりと笑うと兄ちゃんがサユの手を取った。
「さーちゃんだってこんなに美人だし、
絶対に気をつけるんだよ!」
「透真、ほら行くぞ。」
真君に車に押し込められる兄ちゃんを見て、
どっと疲れが込み上げてきた。
いつも妄想で人を困らすあたしでも、
さすがに兄ちゃんを見るとドン引きレベルだ。
「あたしはあんなに酷くないはずだ・・・」
「日和、何ブツブツ言ってんのよ。」
サユに手を引かれて噴水の前にたどり着くと、
すでに到着していたのか帽子を被って読書を
している藍ちゃんを発見した。
「藍ちゃ~ん!!」
今日もクールな氷点下な瞳を向けて待っていた。
「お待たせしましたか?」
「・・・・ううん、今来たところだから。」
藍ちゃんが首を横に振った。
「悪いわね、日和の支度に時間掛かったのよ。」
「気にしないから。」
サユの言葉にフッと笑う藍ちゃんを見て抱きつきたくなった。
な、なんて、可愛いんだこの子!!

