拗ねるなよ、四季は日和ちゃんのことになると

本当に厄介なヤツになる。

『真、悪いけど日和ちゃんは諦めなよ?』

「怖っ!!兄ちゃんより怖っ」

透真が背筋をカタカタ震えだす。

むしろ、朔夜さんより四季の方が怖いかもしれない。

「生憎、俺には可愛い妹にしか見えないよ。」

紗友梨と仲良くしてくれてんだもんな。

日和ちゃんはすごくいい子だから俺も幸せになってもらいたい。

「妹萌えってのはよくあるシチュエーションだぞ!?」

「透真、いい加減黙んないと口の中にそこの野球ボール

詰め込んでやるよ?」

後部座席の方を見て青ざめる透真が静かになった。

『真、頼もしいね。俺が帰るまで透真のことも

日和ちゃんのことも頼むね?』

「早く帰ってきてやれよ。」

『・・・・・・帰れるものなら早く帰りたいよ。』

ピクっと肩を動かす透真を横目にボソッと呟いた。

「いつでも帰ってこいよ。無茶せずに俺だって

透真だってお前のことは信じてる。力だって

貸してやれるんだから帰ってきたくなったら

迷わず帰ってきちまえ。」

「真、俺、惚れそうだよ!!」

だから、透真しつこいぞ!

『本当に、真が敵になったらさぞかし厄介だなー。』

「あのなっ!!」

『・・・・ごめん。それでも、帰れない。今はまだ

帰るわけには行かないんだ。』

お前は一体これから何するつもりなんだよ?

「無理しろとは誰も思わないし、日和ちゃんが

一番傷つくのはお前に何かあったらだ。それだけは

絶対に忘れるんじゃないぞ。」

『分かってる。このことは・・・・』

「言わないでやるから安心しろ。」

透真が強い眼差しで答えた。

『・・・安心した。』

何をしてたって変わらねえよ。

お前も透真も俺の親友だ。

2人のフォローぐらい昔っからとっくにしてたんだからな。