「…ココまで、イカレてきたか。」




ポツリと、本当に小さな声で自嘲した。




「……!
天王洲!!」


怒鳴り声に、思考から浮上する。



怒鳴り声の源は………



「……田中先生。」

「佐藤だ!!
…俺の授業に上の空になるとは……!」


怒鳴り声の主である数学担当の後藤←(佐藤だよ)が私を睨みつけていた。



「よっぽど余裕そうだな?
なら……コレを解いてみろ!!」


バンッ!と叩いた黒板の左側には、問題が書かれていた。



クスクス、と周りが私を見て笑った。


「出来るんだろ?
ボーッとしてた位なんだからな。」


山田←(佐藤だって。)の嫌みを流しながら黒板の前に出る。


少し考えて、解答を書く。


「終わりました。」

チョークの粉を払って、先生と向かい合った。


「フン、どうせ解ける訳が……」

黒板を見た瞬間、言葉が途切れた。


一瞬の沈黙が流れ、


「……っ、正解だ。」


悔しそうなその声に、生徒達は一瞬ざわめく。


「……もういいっ、戻れっ!!」



加藤←(だから佐藤だって!∑)のヤケクソな声に席に戻った。


席についてすぐ、周りはヒソヒソと私をみて何か言っていた。



その目には、軽蔑と妬みが混じっていて。





さっきの教師も、授業中私を見ては睨みつけていた。