私の血統-天王洲家は、陰陽師の家系。

あの伝説といわれた陰陽師·安倍晴明の血を引く由緒ある御家……………らしい。



そういった血族故なのか、幼い頃から霊感が強く、さっきの幽霊や妖怪といった“人ならざるモノ”が見えていた。



そして私自身も、陰陽師の力がある。


“家業”という形で陰陽師として何十体ものの霊や妖怪を祓ってきた。




……といっても、
私はもう陰陽師じゃない。



中学3年生に進級した時、同時に引退したから。



まあその話はまたいつか話すとして。



霊力と陰陽師の力は今も宿ったままだけれど






実質上、私は普通の学生になったのだ。



キーン…コーン…カーン…


「あ゛。」



…ヤベ、チャイム鳴った。



…あの幽霊のせいだ…っ!!



そんな半分勝手な悪態つきながら、急いで屋上を出た。







* * *


-あの後なんとか間に合って、窓際の席で授業を受けている。



ちなみに、今は数学。


だけど私は、授業とは別の事を考えていた。



…そう、あの夢の事を。



あの時の夢があまりにも印象的で、頭にこびり付いて離れない。



夢にしてはリアルで、幻想的で、

…とても、悲しい夢。


夢の私は、夢に出てきたあの男を知っていた。


名前も呼んでいたような気がするが………そこだけ、覚えてない。



顔も良く見えなかったから、どんな顔してるのも、分からなかった。



なんつー夢を見たんだ……。


思い出したら、また体が重くなった気持ちになった。




…………しかし……


夢とは言え、顔も覚えていない男の腕に抱かれ、それを嬉しいと思うとは…………。






…ましてや、『愛してる』だなんて…………。