保健室に入ると、つんと薬品の匂いがした。 保健室にいたのは、保険医の蓮(れん)先生だった。 艶のある黒髪を揺らして振り向く。 「あれ、綾ちゃん、ここに来るの久しぶりだね」 あたしのことを『綾ちゃん』と呼ぶこの先生もあたしと仲がいい先生の一人だ。 前まで休み時間にときどき保健室に遊びに行ってたんだけど、龍達と一緒にいるようになってからは、あまり行かなくなった。 蓮先生に、ここは遊ぶ場所じゃないって、言われてもこりずに遊びに来ていた。