が、龍の腕に力が入り、しまいには抱き寄せられてしまった。

「ちょっ、龍!?」

普段なら絶対しない龍の行動に焦りつつも、一つの疑問が生まれる。

「龍、もしかして何かあったの?」

あたしがその質問をすると、ピクリと龍の肩が揺れた。

「何もねぇよ」

少しの間をおいて答えた龍。

やっぱり何かあったんだ。

でも、誰にだって言いたくないこととかあると思うし……。

そう考えると、少しききづらい。

そう考えていたことが顔にでていたのかもしれない。

「んな顔すんなって。ただ、自分を抑えられなくなってきたなぁって、思っただけだから」

龍は少しはにかんで言った。

「それって、どういうこと?」

あたしは龍の言ったことがわからなくて首をかしげた。

すると、龍は少し考えてから、

「自分の好きなものが目の前にあるのに、我慢するのって辛いだろ?」

そう意味ありげに答えた。