だって、なんかムカつく。

遥斗だけじゃなく、遥斗にデレデレしてる綾菜にも。

ただ、俺が素っ気ない態度をとったせいか、綾菜がしゅんとしたのは気のせいだろうか。

「あ、綾ちゃん。お願いがあるんだけど、いい?」

「うん。何?」

俺はイライラを抱えたまま、二人の会話に耳を傾ける。

「あのね、僕、教科書忘れちゃったんだけど、見せてくれないかな?」

はぁ!?

さっき教科書持ってただろ?

何ウソついてんだよ。

綾菜はどう答えるのかと気になって聞いていると、

「うん、いいよ」

そう答えた。

それが当たり前の返事なんだろうけど、そのことにもイラついた。

何、騙されてんだよ。