ここというのは、今リュウが触れている場所のことだろう。

私もそっとリュウの手に重ねるように胸元に手を当てた。

ドン――

何かが突き抜けるような感覚が体の中を走った。

それは、リュウも同じだったようで思わず二人、見つめあう。

「今のは?」

体を起こしながら私にそう尋ねるリュウに、私は首を傾げるしかなかった。

ただ、私を包んでいる青白い光の中に一際、暖かな春の陽だまりのような光が胸元に広がっている。

その原因に思い至って胸元をジャラジャラと飾っている装飾品を掻き分け、豪華な装飾品とは程遠い、極ありふれた皮ひもを引き上げた。

その先端にぶら下がっているのは、アキからもらった勾玉。

淡い光を放ちながら意思を持っているかのように私の手からフワリと浮き上がると、リュウの胸元まで移動する。

そして、そのまま溶け込むようにリュウの内へと消えていった。

完全に勾玉がリュウの体の中へと消えていった瞬間、私の体からはすべての力が抜けていくような喪失感とそれとはまた別の何かが産まれてくる様な感覚に翻弄され、再び私は意識を手放した。